糖尿病
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実験的糖尿病ラットにおけるNeuropathy
第2報-Alloxan糖尿病ラットにおける末梢神経病変有髄神経線維の検討
稲垣 勝則鈴木 邦男大西 晃生渡辺 斌光井 庄太郎
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1977 年 20 巻 4 号 p. 419-426

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抄録
Alloxan糖尿病ラットのneuropathyを定量的に把握するためin vivoで経時的にMCVを連続測定した. またMCVの測定と同時に末梢神経を生検して横断切片標本を作製し, 総有髄線維密度および直径ヒストグラムを計測して末梢神経病変を解析して健常ラットと糖尿病ラットを比較検討した. 生検神経は腓骨, 腓腹神経の中枢, 遠位側および坐骨神経根の運動線維と知覚線維を用いた. MCVはalloxan投与後2, 3, 4週で糖尿病群は健常群と比較して有意に低下を認めた. 総有髄線維密度は3週頃より根の運動線維を除いて漸次有意に低下を認め, また被験神経別では腓腹神経に著明に低下を認めた. 直径ヒストグラムでは糖尿病群は2週頃より漸次総線維数, ピークの消失, 特に大径線維の減少を認め, それらは特に腓腹神経遠位側に強く認められる傾向にあった. これらの結果より, alloxan糖尿病ラットのneuropathyは, alloxan投与後2週頃より知覚神経遠位側優i位に発症しはじめているようであり, これはヒトのdiabeticneuropathyの病態と酷似しており, 末梢神経病変を経時的に観察できるMCVと, 形態学的に病変を定量分析できる総有髄線維密度, 直径ヒストグラムを用いた本実験法は, ヒトのdiabetic neuropathyを把握するのに有益な方法のひとつであると考えられる.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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