糖尿病
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インスリノーマの1例
インスリン分泌抑制試験とプロインスリン測定の意義について
宮元 進亀谷 富夫上田 幸生羽場 利博伊藤 清吾小泉 順二太田 正之上野 敏男馬渕 宏竹田 亮祐松本 礼二永川 宅和竹山 茂
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1977 年 20 巻 4 号 p. 461-468

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抄録
症例は44才男性で低血糖発作を主訴として1975年11月に入院した. 発作時の血糖値は19~41mg/dlで, 空腹時血糖値41~48mg/dlで血中IRI, CPRはそれぞれ37.0~71.5μU/ml, 3.15~5.00ng/mlであった. 50gGTTにて30分のIRLCPRはそれぞれ496.0μU/ml, 12.20ng/mlと高値を示し, トルブタマイド, レロイシン負荷試験で著明な低血糖症状を呈した. 腹腔動脈造影にて膵体部から尾部に腫瘍陰影を認め, 1976年1月20日膵腫瘍摘出術を施行した. 膵尾部に2個の腫瘤を認め, 組織学的にインスリノーマであった. 術前インスリン (以下 [イ] と略) 分泌抑制試験を行い, IRI, CPRを測定した. カツオ [イ] による低血糖状態ではCPRの明らかな減少は認められず, ンマトスタヂン, およびプロプラノ戸ールとアドレナリン投与にてはIRI, CPRは低下した. それゆえ, インスリノーマでは低血糖状態における内因性 [イ] 分泌抑制の消失が1特徴と推定され, 外因性 [イ] による低血糖状態時の内因性 [イ] 分泌を検討することが診断に有用と考えられた. 術前, 術後の血清, および組織抽出液をBio Gel P-30のカラムにて溶出した。術前血清ではプロインスリン (以下PLCと略) 分画が増大し, 術後では検出されなかったことより多量のPLCが分泌されていたと考えられ, PLC測定の重要性が示唆された. 組織抽出液では血清に比しPLC分画は少なく, 組織内IRI, CPR含量は24.4U/g, 61.6μg/gでILAは18.75U/gであった.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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