糖尿病
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糖尿病における腎の肥大
そのレ線学的検討
太田 正之羽場 利博多々見 良三上田 幸生上田 良成亀谷 富夫伊藤 清吾小泉 順二宮元 進馬渕 宏竹田 亮祐
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1978 年 21 巻 10 号 p. 929-934

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抄録

糖尿病における腎の大きさを検討するため, 糖尿病71例, 正常対照群36例について, レ線的腎陰影の大きさをSimonの方法を用いてrenal ratioとして計測した.
対照群のrenal ratioは3.11土022 (平均値土標準偏差) であり, 年齢, 身長, 体重, 糸球体炉過値, 腎血流量, PSP値との関連は認めなかった.一方, 糖尿病例のrenal ratioは3.40土0.29であり, 対照群に比し有意に (P<0.001) 高値であり, しかも罹病期間, 蛋白尿の有無には影響されなかった.糖尿病でもrenal ratioと腎機能諸項目とは関連を認めなかった.しかしrenal ratio (y) と空腹時血糖値 (x: mg/dl) とはy= 0.001x+ 3.19, r= 0.312の正の相関を示した (P<001).
糖尿病における腎の肥大をレ線的方法により確認し, 糖尿病のコントロール状態とも関連することを認めた。糖尿病の代謝異常によるグリコーゲンの蓄積, 異常組成の基底膜産物の蓄積などが因として推測される.糖尿病性腎症との関連も含め糖尿病の腎の肥大を検索することは意義深いと考える.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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