糖尿病
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実験的糖尿病ラット大動脈へのインスリンの影響
凝血学的・形態学的所見と脂質分析
星山 眞理
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1978 年 21 巻 3 号 p. 219-226

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抄録

インスリンと粥状硬化の関連は以前より注目されている.一方, インスリンの発見以後糖尿病の死因に心血管病変が増加傾向にあることから, インスリンの血管壁への代謝効果を検討することは臨床上重要である.著者は, 正常ラット (N群), アロキサン糖尿病ラット (A群), インスリン連続皮下投与したアロキサン糖尿病ラット (AI群), インスリン単独連続皮下投与ラット (1群) をそれぞれ20匹ずつ作製し, 3ヵ月飼育した後屠殺し, 各群の下行胸部大動脈を採取し, 凝血学的・形態学的検索と脂質分析を行った.凝血学的検索は大動脈抽出液中のCa再加時間とprOthrombin二段法によるthrombin産生能を測定した.脂質分析は, Folchの方法を用いて抽出した大動脈脂質をTLCにかけて, コレステロール・エステル (CE), 遊離脂肪酸 (FFA), 中性脂質 (TG), 遊離コレステロール (CH), リン脂質 (PL) を測定した.大動脈抽出液中の凝固促進作用はI>AI>A>N群の順に強く認められた.脂質分析では, N群と比してI, AI群ではCEの増加とFFAおよびPLの減少が認められた。形態学的には, N群と比してI群では内・中膜の増殖と脂肪沈着を認め, AI, A群では中膜の変性と1群よりは弱い脂肪沈着を認めた.
以上の成績から, 過剰なインスリンは脂質代謝を介してかまたはその直接作用によって大動脈の粥状硬化発現に関与する可能性が推察された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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