糖尿病
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老年者における耐糖能異常と動脈硬化性血管障害との関係について (第3報)
糖尿病性網膜症と脳梗塞との関係にっいて
井藤 英喜折茂 肇中野 忠澄大山 俊郎白木 正孝後藤 一紀中尾 純子戸張 幾生後藤 昌司勘場 貢
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1978 年 21 巻 8 号 p. 743-749

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抄録
60歳以上の老年者糖尿病型耐糖能127例を対象として, 糖尿病性網膜症と脳梗塞との関係につき検討を加え次の結果を得た.
1) 糖尿病性網膜症を認めた群 (N=52) の脳梗塞発症率は57.7%(30/52) であり, 糖尿病性網膜症を認めなかった群の32%(24/75) に比し有意に高値であった (P<0.01).
2) 年齢, 性, 骨粗霧化, ヘメトクリット値, 血清中性脂肪値, 血清コレステロール値, 高血圧の有無, 血清尿酸値, 血漿フィブリノーゲン値, 糖尿病性網膜症, insulinogenic index, 空腹時血糖値, 糖負荷後血糖項い値, 糖負荷後の血糖パターン, 糖尿病罹病期間の15要因と脳梗塞との関係をカテゴリカル回帰分析を用て検討した.その結果, 脳梗塞と有意な関係を示す要因は糖尿病性網膜症と血清中性脂肪値であった.
3) 糖尿病性網膜症の重症度と脳梗塞の問には有意な相関々係は認められなかった.
以上のことより糖尿病性網膜症すなわち糖尿病性細小血管症と, 脳梗塞すなわち動脈硬化性血管障害は密接な関係を有するが, それぞれの進展, 発症因子は全く同一とは言えないことが示唆された.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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