糖尿病
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KKマウスの腎糸球体病変に関する研究
特にGlibenclamide投与による血糖コントロー・ルの影響について
松谷 秀俊白川 博史江本 正直猪尾 和弘宮村 敬西村 正彦
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1978 年 21 巻 8 号 p. 757-767

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抄録
自然発症糖尿病動物であるKKマウスに, 経口血糖降下剤のglibenclamide25~75μg/日を, 尿糖の出現する生後3ヵ月から8ヵ月まで, 連日尿糖陰性化を目標に投与し, 腎糸球体病変について, 一般的なmorphologic studyとmorphometric studyをおこない, 同月齢のKKマウス未処置群および非糖尿病動物のC578Lマウスと比較検討した.その結果, KKマウスにglibenclamideを投与し, 血糖をコントロールすることは, 腎糸球体の大きさ, 基底膜の幅, mesangial areaの増大を軽減させた。しかしながら, それでもなおかつC57BLマウスより糸球体病変は高度であった.したがって, 血糖のコントロールは, 首尾よくなされるならばglibenclamideであれ, KKマウスの腎病変の進展遅延化に有効であるが, それでもなおかつ改善されずに存在するであろう糖尿病性代謝異常, および, この動物のもつ先天的な因子の両者の関与の可能性が示唆された.
一方, 8ヵ月齢のKKマウスの糸球体病変の進展機序の一端を知る目的で, 3H-proline, 3H-lysineを腹腔内に投与し, 24時間口, 16日目にそれぞれ腎皮質のradioactivityを求めると, 16日値 (cpm)/24時間値 (cpm) はKKマウスがC57HLマウスより大でautoradiographyでのglomerular tuft単位面積あたりのgrain countからも, この傾向が肯定された.したがってproline, 1ysineは腎皮質ないし糸球体にくみこまれた後, 長期に残存する傾向が, 特徴あるKKマウスの腎症進展の一端を示していると思われる.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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