糖尿病
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新生児ラットのInsulin分泌反応に関する研究
特にAdrenergic Mechanlsmの関与について
関 道雄
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1979 年 22 巻 9 号 p. 989-999

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抄録

ヒトや各種動物において胎生期並びに新生児期では, 膵ラ島のglucose刺激に対するinsulin分泌の低下または欠如が認められている. この機序の解明を目的として, 生後第1, 3, 7日目の新生児ラット, および成熟ラットとして生後70日目の雄性ラットよりcollagemse法にて単離したラ島を用いてincubation実験を行った. 生後経日的に単離したラ島のinsulin分泌に対する諸種濃度のglucose, 並びにepinephrine, phentolamineの影響を観察した。
生後第1日目の新生児ラットラ島では, 3.3と16.7mM glucoseによるinsulin分泌を比較したところ, 成熟ラットに比しとくに16.7mM glucoseによるimulin分泌が小さく, glucoseに対する反応性が低かった. しかし, 3日目以降のラットラ島では成熟ラットと同程度の反応性を示した.
一方, epinephrineのinsulin分泌抑制効果は, 生後第1日目のラットラ島の方が成熟ラットラ島に比し軽微であった.
逆に, phentolamineのinsulin分泌に対する影響は, 幼若ラットほどinsulin分泌を増加させる傾向があり, とくに1mM phentolamineは成熟ラットにおいてはimulin分泌を抑制したが, 薪生児期においてはinsulin分泌増加を示し, 幼若ラットほどその増加率は大きい傾向がみられた。さらに生後第1日目のラットラ島では, phentolamineの濃度を上昇させるに従ってinsulin分泌は増加する傾向を認めた。
以上の成績より, 新生児期とくに生後第1日目のラットラ島においては, 内在性のα-adrenergicmechanismが優位であり, これがglucoseによるinsulin分泌の低反応性の一因として示唆された.

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