1981 年 24 巻 1 号 p. 19-25
名のインスリン非依存性糖尿病患者 (NIDDM) および5名のインスリン依存性糖尿病患者 (IDDM) にアルギニン静注負荷を行い, その負荷前後の血糖制御を人工膵β細胞を用いて行った際の血漿グルカゴン (IRG) 反応をインスリン非注入時のそれと比較, 検討した.
インスリン非注入時には, 両者ともアルギニン負荷に対してIRGは過剰分泌反応を示した. 人工膵β細胞を用い, 血糖を少なくとも1時間正常域に保持したのちアルギニンを負荷すると, 血糖値に応じてインスリンが注入された結果, 血漿インスリン (IRI) 値, 血糖値とも健常人と同様の反応曲線を示し, その際のIRG反応も正常化することを認めた.
これらの事実から糖尿病に認められるアルギニン静注負荷の際のIRG過剰分泌反応はインスリン欠乏による2次的な結果であることを確認し, その際の効果についてはインスリン曲線, 血糖曲線の正常化が大きな因子であることを示唆しえた.