糖尿病
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糖尿病性末梢神経障害を併発した石灰化慢性膵炎の臨床像について
今村 憲市中村 光男宮沢 正阿部 泰久成田 祥耕大平 誠一武部 和夫八木橋 操六
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1981 年 24 巻 6 号 p. 663-668

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抄録

徒来, 膵性糖尿病には糖尿病性神経障害はおこりにくいとされていたが, 1966年以降の欧米の報告では膵性糖尿病でも少なからず神経障害の発生を認めることが指摘されている.しかし, 本邦では膵性糖尿病での神経合併症の有無を詳細に検討した報告は少なく, この一因として, 本邦ではアルコール性膵炎が多いため, アルコール性末梢神経障害と糖尿病性末梢神経障害との鑑別が困難なことが考えられる.今回, 禁酒のなされている石灰化膵炎39例と, 一次性糖尿病59例を対照として糖尿病性神経障害の発生頻度, 特徴等につき検索を行った.末梢神経障害はアキレス腱反射消失および減弱, MNCV低下の有無によって判定した.膵性糖尿病では, 糖尿病罹病期間5年以上11例中7例, 5年以下28例中6例に糖尿病に基因すると考えられる末梢神経障害を認めた.これら13例ともインスリン使用例であり, 全例に糖尿病家族歴を認めなかつた.有痛性神経障害を5例に認めた.一方, 一次性糖尿病では, 罹病期間5年以上24例中14例, 5年以下35例中14例に末梢神経障害を認め, 更に食事療法のみの軽症糖尿病例にも神経障害が認められた.したがって, 膵性糖尿病での神経障害発生には, 糖尿病重症度, 糖尿病罹病期間がその発生に大きく関与すると考えられ, 一次性糖尿病との間に若干の病態の相違が認められた.また, 糖尿病罹病期間1年の膵性糖尿病例でVasa nervorum壁肥厚を認めた例があり注目された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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