糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
糖尿病性昏睡の治療における少量インスリン間漱静注法と初期大量インスリン投与法の比較検討
丸山 博早川 裕加藤 督介鈴木 彰石沢 晋片岡 邦三藤森 一平松木 駿
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 24 巻 7 号 p. 721-728

詳細
抄録
ケトン性糖尿病昏睡治療における少量インスリン間歇静注法での治療成績を従来の初期大量インスリン投与法での成績と比較した.
間歇静注群では血糖値が250mg/dl以下となるまで半昏睡4例に毎時間8単位, 完全昏睡1例に初回20単位, 以後毎時間10単位のregular insulin (RI) を静注し, 初期大量投与群では半昏睡4例に初回40~100単位のRIを半量ずつ静注および皮下注し, その後2時間ごとに血糖降下速度に応じRIを半量ずつ同様に追加注射した.間歇静注群での治療前血糖値は平均892±131 (M±SE) mg/dlで, 血糖値が250mg/dl以下となるまでの所要時間は平均8±2時間, RI必要量は72±21単位, 1時間あたりの血糖降下量は91±12mg/dlであり, これらの値と初期大量投与群での成績との間に有意差はなかった.間歇静注群で治療開始6時間後の血糖降下量は平均517±89mg/dlで前値の59±8%の降下を示し, これらの成績も初期大量投与群での成績と同様であった.意識回復までの所要時間, 治療開始24時間後までのRI必要量および輸液量にも両群の間で有意差がなかった.毎時間RI8単位を静注した間欲静注群の3例では, 治療開始1時間以降の各RI静注直前血中IRI濃度は18~43μu/mlであった.両群とも治療中の低血糖, 低K血症はみられなかった.
以上, ケトン性糖尿病昏睡に対する間歇静注法での我々の治療成績は, 初期大量投与法での成績に比し劣らないと考えられる.
著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top