高い脂肪酸生合成活性を示す飽食ラットから得た遊離肝細胞を用いて, dibutyryl cyclic AMP (Bt
2cAMP), oleate, octanoate, acetateおよびchylomicrons (CM) とそのremnants (RM) のケトン体産生, 脂肪酸生合成, さらに解糖系に及ぼす効果を比較検討した.Bt2cAMPとoleateはケトン体産生を亢進させると同時に, 脂肪酸生合成を著しく抑制し, 両代謝プPa・eスのrecipr0calrelationshipが観察された.一方ミトコンドリアでcamitine independentにacetyl groupを供給するoctanoateやacetateでは, ケトン体産生は増加させるが, 脂肪酸生合成は抑制せず, reciprocal relationshipは観察されなかった.さらに外因性乳酸・ピルビン酸のoctanoateに対するantiketogenic actionはTCA cycleの活性化よりは, 脂肪酸生合成の促進によることが認められた.これらの結果はケトン体産生の調節が, 1つはlongchain fatty acyl-CoAのミトコンドリア内への運搬ステップで, もう1つはβ酸化により産生されたacetylgroupの利用過程で行われていることを意味する一方, そのいずれにおいても, 脂肪酸生合成プロセスの活性が重要な鍵を握ることを示唆している.
ところでCMと, functionally hepatectomized ratにより作成された
in vivo RMは, ともにケトン体産生に影響を与えることなく, 脂肪酸生合成を有意に抑制したが, その機序は不明であり, 現在研究室で追求中である.post heparin rat plasma中で作成された
in vitro RMはlipoprotein lipase活性を有し, 多量の遊離脂肪酸をmedium中に放出することにより, oleateと同様の代謝効果を呈した.
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