抄録
Glibenclamideのradioimmunoassayを開発し, 臨床検体に応用するための基礎的検討を行った.glibenclamideの代謝変化を受ける部位からもっとも遠く離れた部位に牛血清アルブミンをジアゾ結合させたものを抗原とし, 家兎を免疫して抗体を作成した.最終稀釈8000倍の抗血清と160pgの3H-glibenclamideを4℃にて24時間反応させた後の結合率は35%であった.抗血清と3H-glibenclamideの結合は標準glibenclamide 50pg/tubeの添加で有意に抑制され, 検体を10μlとして5~500ng/mlの範囲で測定可能な標準曲線がえられた.血漿アルブミンはglibenclamideを非特異的に結合するので血漿中濃度を測定する場合・標準glibenclamideの系列にも同剤を服用していない正常者の血漿を添加する必要があった.
このradioimmunoassay系ではglipizideを除く他のSU剤との交差反応はきわめて僅かであり, glibenclamideの代謝産物との交差反応も0.5%以下であった.アルブミンとの非特異的結合反応があるので遊離と結合3H-glibenclamideの分離にはデキストラン炭末法を用いた.回収試験, 稀釈試験もほゞ良好な結果がえられた.gas chromatography, liquid chromatographyによる測定値との間には高度の相関がみられた.glibenclamide 2.5mg服用後の人血漿中の濃度は1.5時間後72±32ng/mlと上昇し, この測定系で十分測定可能であることが示された.