糖尿病
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若年発症のインスリン依存型糖尿病およびHLAを支配する遺伝子型との間のEpistasisに関する遺伝学的研究
古庄 敏行小坂 樹徳
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キーワード: 若年型糖尿病, HLA, 遺伝
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1982 年 25 巻 10 号 p. 1053-1064

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抄録

IDDMとHLAとの間の関連の遺伝学的メカニズムを解明するため, 連鎖平衡を仮定した頻度の期待値と頻度の観察値との比較から, その “ずれ” をepistasisによる効果と仮定し, epistasis分散の推定を試みた. epistasis分散の遺伝子型分散に対する比は, IDDMとHLA-Bw54で1/69, IDDMとHLA-DYTで1/59およびIDDMとHLA-DRw4では1/33で, 比較的小さい結果が得られた.
連鎖不平衡は受精直前の配偶子の頻度で定義されるので, epista曲があっても, 必ずしも連鎖不平衡がでるとは限らない. 2つの遺伝子座位間の距離がある範囲より小さくなければならない.
人の遺伝形質は配偶子レベルで分析できないので, 本研究では表現型のepista曲を考えているから, 連鎖不平衡は考えていない. したがって, 連鎖平衡が存在していることが確実なら検出できるが, epistasisと連鎖不平衡がある結果と同じようにでるので, この点十分考えねばならない。
IDDMとHLAとの間のepista曲の解明は, 臨床遺伝学上極めて重要であるので, 今後さらに詳細な計画の下に多数の資料を収集して再検討する予定である.

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