糖尿病
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糖尿病性低レニン性低アルドステロン症の血中不活性型レニンに関する研究
谷口 郁夫景山 茂斎藤 宣彦阿部 正和広瀬 茂久村上 和雄高木 敬三
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1982 年 25 巻 10 号 p. 1065-1072

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抄録

糖尿病性低レニン性低アルドステロン症 (Diabeti chyporeninemic hypoaldosteronism: DHH) では血中レニン活性が低下し, 不活性型レニンが正常者に比べて増加している. DHHの血中不活性型レニンの分子量 (MW) はSephadex G-100を用いたゲル炉過法によると55,000であるがUltrogel AcA 44を用いると50,000であった, 等電点電気泳動法より測定したDHHの血中不活性型レニンの等電点 (pI) は5.3, 5.5, 5.75, 6.1の4つのピークを示した, これらのMW, pIは健常者血中不活性型レニンと全く同じ値であった. また真のレニン前駆体である腎プロレニンのplと近似しているため, DHHにおける血中不活性型レニンの増加は腎臓内でのプロレニンからレニンへの変換障害によるものと考えた.
DHHにおける血中不活性型レニンの活性化機構を検討したところ, トリプシンで不活性型レニンを活性化した場合, ゲル炉過法 (Ultrogel Ac A44) によるMWは50,000から42,000と小さくなり, pIは4.6, 4.75, 4.9, 5.1と変化した. 酸処理法 (酸透析後に中性透析) では, MWは42,000となり, pIは485, 5.0, 5.2, 5.35となり, 腎抽出液中の活性型レニンの値と近似していた. 従って酸処理で活性化された血中不活性型レニンは, 腎臓内活性型レニンと同じ分子組成をもつと考えられ, 血中にも正常な活性型レニンへ変換する因子が存在する可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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