抄録
耐糖能異常患者の治療指標としてルチン化されている%HbAIcまたは%HbAIがいわゆるglycosylationを正当に反映しているかの点に疑義を持ち, 今回はTrivelliの原法に準拠し分取したHbAI各分画, HbA.分画中の単糖類の存在様式をgas chromatography-masss pectrometry (以下GC-MSと略す) 系によるmass frgmentography (以下MFと略す) の手法を用いて解析し諸種病態の正しい把握のための新しい情報を得ようと試みた.
1)%HbAIcとHbAI+HbAoにおける単糖類量に対するHbAIcの単糖類量の百分率との間に有意の正相関が存した.2) hexoseの結合様式においてHbAIcとは異った特異性がHbAIa, HbAIbに存した.3) HbAoにおけるhexoseの存在様式は%HbAIとの関連において重要な意義を持つと考えた.4) HbAo, HbAI+HbAoにおける単糖類の量と%HbAIc,%HbAIは相関しなかったが, TBA color valueと%HbAIが相関するというGabbayの報告を支持するにはなお検討されるべき問題がある.従来の%HbA分画の測定よりも構成単糖類の測定の方がよりglycosylationを反映するものと考えるのが妥当であるかどうかについては今後十分検討されるべき課題を含んでいる.