抄録
症例は24歳の主婦. 口渇, 多飲, 多尿よりケトアシドーシスを呈して急激に発症したインスリン依存型糖尿病である. ノボレンテMC (ウシ・ブタ) とアクトラピッドMC (ブタ) にてコントロールしたが, 4ヵ月後より空腹時血糖300mg/dl以上となり, インスリン量を72単位まで増やしたり, モノタードやインスラタードに変更しても血糖コントロールは不良であった.そこで, 再びレンテMC (ウシ・ブタ) を皮下注したところ, 全身性蕁麻疹が出現し, インスリン量も160単位まで増量してもコント灘一ルは不良であった.
入院時身長159cm, 体重40kg, 総IgE 2510IU/ml, 総インスリン43151μU/ml, Free insulin 57.3μU/ml, 125I-インスリン結合率85%といずれも高値を示した. 血中, 尿中CPRは0に近く, 抗インスリンレセプター抗体は陰性, 内分泌学的に高血糖の要因は否定された. 入院後, 半合成および生合成の高純度ヒトインスリンに対してもアレルギーが認められた. ヒトインスリンの持続静注による血糖コントロールと, ヒトインスリンの持続皮下注入による脱感作を行った.しかし, 完全にはアレルギーは消滅せず, hydrocortisone 5mgを1日3回, ヒトインスリンに混ぜて筋注する方法で局所アレルギーを抑え, 血糖コントロールを維持することが出来た.