糖尿病
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水痘罹患後に発症した糖尿病の1例
辻 昌宏相川 忠弘近藤 宇史川上 義和井出 肇
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1985 年 28 巻 8 号 p. 935-939

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抄録

水痘感染後に発症した20歳男子の糖尿病症例を経験した. 患者は, 水痘発症後, 約1ヵ月後に突然, 口渇, 食欲減退および体重減少が川現した. 水痘感染3ヵ月後の当科初診時には, Varicella Zostcrの抗体価の高仙を認め, 空腹時血糖 (FBG, 304mg/dl) HbA1 (14.9%) およびHbA1c,(11.6%) は, 高値を示した. 初診時に行なわれた糖負荷試験では, 明らかな糖尿病型で, IRI反応は低値であった.
本症例のHLA系は, 日本人の1型糖尿病と関係が深いことが知られている, BW54-DR4のハプロタイプおよび, MT3 (DRW4×7) の抗原系が認められた. 膵島細胞膜抗体は, 検出されなかった.
患者は初診以来, 厳重な食間寮法を行ない, 約3ヵ月間でFBGの正常化とインスリン分泌の改善を認め, インスリン療法を必要としなかった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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