糖尿病
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28 巻 , 8 号
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  • 近藤 安子
    1985 年 28 巻 8 号 p. 881-887
    発行日: 1985/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性糸球体硬化症の組織変化の強さと罹患年数, 死亡年齢, 直接死因との関係は, 既に1960年代の93例の剖検結果が報告されている. 今回はそれと同じ規準で, 1960年代93例より二次性糖尿病を除いた81例と, 1970年代209例について調べ両年代の差異を検討した.
    1. 糖尿病剖検例における腎病変は, 1960年代では92%で, 1970年代では91%に認められ両年代共に高率にみられた.
    2. 糸球体変化と罹患年数との関係は, 1960年代では, 罹患年数16年以上の症例が少なく明らかでなかったが, 1970年代では15年以内ではメサンギウムの肥厚III型の病変を有する症例が最も多く, 16年以上25年以内では結節性病変IV型を有する症例が最も多くなっていた. このことにより糖尿病性糸球体硬化症における結節性病変は16年から20年で完成すると思われる.
    3. 1970年代において20歳, 30歳で糸球体変化の見られない症例の死亡がなくなり, 60歳70歳で, III型, IV型の病変を有する症例の死亡が多くなった.
    4. 1970年代では感染症による死亡が減少している. 剖検例で, 糖尿病長期生存例が多くなったために悪性腫瘍が増加している. また両年代共に心, 脳, 腎による死亡が多く特に長期生存が可能になったことによりさらに糖尿病性糸球体硬化症は重要な死因となる合併症と考えられる.
  • 吹野 治, 新里 里春, 石津 汪, 玉井 一
    1985 年 28 巻 8 号 p. 889-894
    発行日: 1985/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    重症合併症 (網膜症) を有する糖尿病患者の心理的特徴について, 軽症例と対比させ検討した. 対象は, Scott IIIb以上の網膜症を有する37例の重症糖尿病群 (重症群) と網膜症を認めない年齢, 罹病期間をほぼマッチさせた25例の軽症糖尿病群 (軽症群) の計62例である. 心理テストに関しては, 性格や適応性を評価する矢田部ギルフォード性格検査 (YG) と不安状態を評価するState-Trait Anxiety Inventory (STAI) を施行した. 家族歴, 体重増加率, 空腹時血糖値, HbA1値, 治療法には, 2群間に有意差が見られなかったが, Ncphropathy, Neuropathyの発生頻度は, 重症群において有意に高率であった. YGテストで不適応タイブを示した症例は, 重症群で13.5%, 軽症群で52%であり, 軽症群に比し重症群が有意に低率であった. STAIにおける不安尺度は, 軽症群に比し重症群が低い傾向を認めた. 糖尿病発症後, 医療施設へかからず放置した期間, および食事療法が不十分であった期間は, 軽症群に比し重症群が長い傾向にあった. 以上の結果より重症群は, 軽症群に比し, 社会的に適応するタイプであり, 不安を感ずることが少なく, 医療や食事療法を放棄し易い傾向がうかがえ, 糖尿病教育にあたっては心身医学的配慮の必要性が示唆された.
  • 田中 明, 中條 やえ子, 司馬 清麿, 渡辺 孝之, 陳 螢村, 宮野 龍美, Hiromichi Sugiyama, 内村 功, 前沢 ...
    1985 年 28 巻 8 号 p. 895-900
    発行日: 1985/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病の冠動脈硬化促進作用について, その成因を検討した.
    冠動脈造影により評価した冠動脈硬化重症度scoreにより, 対象123名を正常N, 軽症L, 中等度M, 重症Hの4群に分類した. 各群の年齢, 肥満度, 血清総コレステロール (TC), 中性脂肪 (TG) 値に差を認めなかった. 各群の糖尿病罹患率は, N群5, L群14, M群30, H群29%で, 冠動脈硬化重症化に従い高率となった. 75gブドウ糖負荷試験を施行. 各群の負荷前, 負荷後30, 60,120分の血糖値および血糖総和値は, N, L, M, H群の順に高値となった. 次に, 男性について, 糖尿病, 境界, 正常群に分類, 重症度scoreを比較した. 糖尿病は正常群より有意に重症度score高値であった. 各群の年齢, 肥満度, 血圧, 喫煙量, TC, TG値に差を認めなかった. 以上から, 糖尿病は冠動脈硬化促進因子であり, その作用は高脂血症, 肥満, 高血圧, 加齢, 喫煙らの因子を介するものでなく, 高血糖に伴う因子によると考えられた.
    重症度score各群のブドウ糖負荷前, 負荷後30, 60,120分のIRI値およびIRI総和値は, N, L, M群の順に減少し, H群はM群より逆に高値を示した. また, 糖尿病例を除いた検討ではH群のIRI高値傾向が著明となった. これらの結果は高インスリンー血症の冠動脈硬化促進作用を支持するが, 糖尿病例の冠動脈硬化促進には高インスリン血症とは別の要因が作用するものと推定された.
  • 畑中 行雄
    1985 年 28 巻 8 号 p. 901-908
    発行日: 1985/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性神経障害の発生には高血糖に基づく種々の代謝異常が関与していると考えられるが未だ一定の見解がない, 近年Polyol pathwayの異常が注目され, 神経組織におけるpolyolsの蓄積と神経機能異常との関係について検討されつつある.
    著者はこの経路の律速酵素であるaldose reductaseの阻害剤 (ARI) を用いた末梢神経機能障害の発現にsorbitol代謝がいかに関与しているかを検討した. streptozotocin (STZ) 糖尿病ラットでは, STZ (60mg/kg, IV) 投与後まず血糖の上昇が見られ, やや遅れて神経組織内sorbitol含量 (NSC) の増加が認められた. しかし神経伝導速度 (MNCV) の低下は更に遅れて発現しており, NSCが一定の閾値以上に蓄積して始めてMNCVが低下するものと思われた. STZ糖尿病ラットにARIを予防的に経口投与するとMNCVは正常対照群と有意差なくほぼ正常に保たれたが, 神経組織内sorbitol蓄積はARI非投与糖尿病群の54%に抑制されたのみであった. すなわちsorbitol蓄積が一定の閾値以下に留れば神経機能が正常に保持され得る可能性が考えられた. また2週間の糖尿病状態を経たSTZ糖尿病ラットにARIを投与したところ, NSCが有意に減少すると共に低下していたMNCVが有意に改善し, ARIの治療的効果が確認された. これらの結果から少なくとも急性期糖尿病状態ではNSCと神経機能とは極めて密接な関係があると考えられ, またARIが治療薬としても有効な手段となり得る可能性が考えられた.
  • 鈴木 正昭
    1985 年 28 巻 8 号 p. 909-918
    発行日: 1985/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1) ラット初代培養肝細胞におけるブドウ糖利用はブドウ糖濃度依存性 (100~800mg/dl) に増加し, 24時間のインスリン存在下ではいずれのブドウ糖濃度でもさらに約2倍の増加がみられた.
    2) インスリンの早期 (2~4時問) 作用としてブドウ糖からグリコーゲン, 脂質, ヌクレオタイド分画, 培地中乳酸分画への14Cのとりこみは約30~50%増加した. 一方インスリンの遅発効果 (24時間) はより明らかであり, 乳酸へのとりこみは21%と早期効果と大差なかったが, その他の分画へのとりこみは約50~112%増大した.
    3) 蛋白合成阻害剤であるcydoheximide共存により, インスリンのブドウ糖細胞内とりこみに対する遅発効果は消失したが, 早期作用は認められた.
    4) ブドウ糖利川の律速酵素であるglycogcn synthase, pyruvate kinase, glucokinase, glucose 6-phosphatedchydrogcnascは, インスリン添加4時間および24時間で低濃度基質における活性化あるいはVmaxの増加が認められた.
    5) インスリンのブドウ糖利用促進効果は, インスリン濃度5ng/mlよりみられ, 100ng/mlで最大効果を示した.
    以上より肝ブドウ糖利用に対するインスリン作用には早期および遅発効果があり, 前老は主として蛋白合成を介さず酵素の活性化により, 後者は酵素誘導など蛋白合成を介して発現し, いくつかの代謝経路の律速酵素の調節を介して発現していると考えられる.
  • 鈴木 隆, 牧野 英一, 金塚 東, 栗林 伸一, 橋本 尚武, 吉田 尚
    1985 年 28 巻 8 号 p. 919-926
    発行日: 1985/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    週齢のラット (以下コントロール群と略す) 及び32週齢のラット (以下肥満群と略す) 副睾丸脂肪組織の脂肪細胞を用いて, インスリンの膜結合型low Km cyclic AMP phosphodiesterase (以下PDEと略す) 活性化系に及ぼす効果につき検討した. 肥満群におけるPDE活性化は0.1~30nMのインスリン濃度においてコントロール群に比し有意に低下していた (P<0.001). インスリンに対するPDE活性化の用量一反応曲線は両群で共に上に凸の2相性曲線となった. 肥満群の曲線は右ヘシフトしており, そのhalf maximum stnulatnは難巴満群で0.7nM, コントロール群で0.17nMであり (P<0.001), 肥満群でインスリン感受性は著明に低下していた. 基礎活性値に対するPDE活性化の最大反応も肥満群で著明に低下していた. 又両群の脂肪細胞を125I-インスリンと共に24QC, 1時間インキュベートして得られた特異的インスリン結合はコントロール群で4.836, 肥満群では13%であり, Scatchard plotより肥満群における特異的インスリン結合の増加はインスリンレセプター数の増加によることが示唆された. これらの結果より, 肥満ラット脂肪細胞ではPDE活性化系のインスリンに対する感受性及び反応性の低下がみられ, この障害はpostrcceptordc驚ctsに起因するものであると考えられた.
  • 松葉 育郎, 鶴岡 明, 森 豊, 佐々木 温子, 石井 賢治, 池田 義雄, 種瀬 富男, 石川 博, 大河原 久子, 平田 幸正, 丸山 ...
    1985 年 28 巻 8 号 p. 927-933
    発行日: 1985/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ヒトの胎児膵山来であるB細胞クローン (JHPI-1) を抗原側細胞として, 間接螢光抗体法, 125I-protein Aによるradioligandassayによりインスリン依存型糖尿病 (以下IDDMと略す) 患者血清中の膵島細胞膜抗体 (以下ICSAと略す) の測定を行った. 原法に従ったラットあるいはマウスの分散膵島細胞を抗原側細胞とした成績と比較検討した.間接螢光抗体法を用いた検討では, ラットあるいはマウスの分散膵島細胞で陽性と判定された患者血清は, すべてJHPI-1細胞でも陽性を示した. また, 正常健常者血清で陰性を示した全例は, JHPI-1細胞でも陰性を示した. 一方, ラットあるいはマウスで陰性と判定されたIDDM患者血清の中に, JHPI-1細胞で陽性を示した症例が認められた. また, 125I-protein Aによるradioligandassayでも, ラットおよびマウスと良好な相関を示し, かつJHPI-1細胞の方が高い125I-protein Aactivityを示した.
    以上のことより, ヒトの胎児膵由来であるB細胞クローンが, ラットおよびマウスの分散膵島細胞と同様にICSA検出の抗原側細胞となり得ること, またヒトにおいて種属特異性の高いICSAが存在することが考えられた.
  • 辻 昌宏, 相川 忠弘, 近藤 宇史, 川上 義和, 井出 肇
    1985 年 28 巻 8 号 p. 935-939
    発行日: 1985/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    水痘感染後に発症した20歳男子の糖尿病症例を経験した. 患者は, 水痘発症後, 約1ヵ月後に突然, 口渇, 食欲減退および体重減少が川現した. 水痘感染3ヵ月後の当科初診時には, Varicella Zostcrの抗体価の高仙を認め, 空腹時血糖 (FBG, 304mg/dl) HbA1 (14.9%) およびHbA1c,(11.6%) は, 高値を示した. 初診時に行なわれた糖負荷試験では, 明らかな糖尿病型で, IRI反応は低値であった.
    本症例のHLA系は, 日本人の1型糖尿病と関係が深いことが知られている, BW54-DR4のハプロタイプおよび, MT3 (DRW4×7) の抗原系が認められた. 膵島細胞膜抗体は, 検出されなかった.
    患者は初診以来, 厳重な食間寮法を行ない, 約3ヵ月間でFBGの正常化とインスリン分泌の改善を認め, インスリン療法を必要としなかった.
  • 嘉門 信雄, 小泉 順二, 馬渕 宏, 竹田 亮祐
    1985 年 28 巻 8 号 p. 941-947
    発行日: 1985/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    腎動脈の石灰化と糖尿病の関係を明らかにするため, 腎動脈石灰化を有する糖尿病患者5例につき成因を検討した. また, 石灰化の腎血流・腎機能への影響, 動脈硬化危険因子の有無および臨床像にも検討を加えた. その結果, 次の結論を得た.
    1. 腎動脈石灰化は5例とも斑状ないし点状分布を呈し, 粥状硬化の石灰化と考えられた.
    2.腎動脈石灰化は5例とも両側性にみられた. また大動脈には全例で, 脾動脈・腸骨動脈・大腿動脈等にも高頻度に石灰化がみられた.
    3. 腎機能障害は1例でみられたが, 腎動脈の閉塞を示唆する例はなかった.
    4. 入院時の空腹時血糖値は210.2±41.0mg/dl (mean±SEM), HbA1cは7.0±0.6%で血糖コントロールは不. 良であったが, 石灰化のない糖尿病群 (210例) と有意差はなかった. しかし推定罹病年数は16.0土
    3.8年で, 石灰化のない糖尿病群の約2倍であった.
    5. 年齢は69.2±2.2歳 (64~77歳) で石灰化のない糖尿病群より有意に高齢であった.
    6. 動脈硬化危険因子では, 収縮期血圧が168.4±8.5mmHgで石灰化のない糖尿病群の134.4±1.8mmHgより有意に高かった. しかし大動脈に石灰化を有する糖尿病群 (100例) の148.4±2.8mmHgと差はなかった. 拡張期血圧, 肥満度, 脂質は石灰化のない糖尿病群と差はみられなかった.
    7. 心電図ST-T変化は5例中1例であったのに対し, 網膜症は3例, 尿タンパクは4例でみられ, 石灰化とMicroangiopathyの関連が示唆された.
  • 1985 年 28 巻 8 号 p. 949-968
    発行日: 1985/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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