糖尿病
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細小血管症の急速な進展を示したMODYの1症例
岩崎 直子吉野 博子大橋 博笠原 督平田 幸正矢野 伸樹
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キーワード: MODY, 細小血管症
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1987 年 30 巻 2 号 p. 175-180

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抄録

若年者に発症する糖尿病の中にもインスリン依存型糖尿病の他にインスリン非依存型糖尿病が存在する.後者の中に1975年, TattcrsallとFajansらが提唱したmaturity onset type diabetes of the young (以下MODYと略す) という病型に属するものが含まれる.MODYは25歳未満で発症し, 少なくとも2年はインスリンを使用することなくコントロールが可能な糖尿病で, 同胞の半数に糖尿病を認め, 3代に渡る優性遺伝を有するという.今日まで欧米で報告されてきたMODY例は, 比較的細小血管症の合併が少なく進行しにくいとされたが, 私どもはMODYと考えられる症例で, しかも進行の速い細小血管症を合併する症例を経験した.症例は11歳で糖尿病を発見された女性で, 9年間は食事療法のみで治療されていた.その後インススリン療法を加えられ, 現在30歳で, 増殖性網膜症と腎症を有している.この発端者の母親は16歳で, 母方の祖父は30歳で糖尿病を発見された.また発端者の妹は17歳のときに, 糖尿病が網膜症とともに発見され, 28歳の現在網膜症は増殖型で腎症も合併している.
結論として今回報告した症例は25歳未満で糖尿病となったものであり, 細小血管症を早期に起こしてくるNIDDMの優性遺伝を有するものといえた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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