糖尿病
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コクサッキーB3ウイルス感染とともにIDDMを発症したと推定されるDiaminodiphenyl Sulfone (DDS) 症候群の1例
橋本 尚武牧野 英一金塚 東藤原 敏正桜田 正也岩岡 秀明平良 真人大沢 一仁山口 卓秀吉田 尚
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1987 年 30 巻 8 号 p. 761-765

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抄録

コクサッキーB3ウイルス感染がInsulin-dependent diabetes mellitus (IDDM) の発症に強く関係したと思われるDiaminodiphenyl Sulfone (DDS) 症候群の1例を報告する.
症例は60歳, 主婦, DDS症候群のためプレドニン服用中突然に口渇, 多飲多尿出現し, 意識レベル低下し, 同時に血糖高値, 血液pH 7.23, 尿ケトン体陽性にて糖尿病性ケトアシドーシスと診断された. 発症経過, また以後に行ったインスリン分泌能検査, HLA検査などよりIDDMと診断された.コクサッキーB3ウイルスの中和抗体価は, 発症直後4倍であったが, 21日目には128倍に上昇し約2ヵ月後に4倍に低下した. 他のウイルス抗体価は有意な変動は認められなかった.
本例は, IDDM発症とコクサッキーB3ウイルス抗体価の推移を考えると, コクサッキーB
3ウイルス感染がIDDMの発症の病因と強く関連した症例と思われた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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