糖尿病
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高インスリン血症の超低比重リポ蛋白-中性脂肪の代謝に与える影響.インスリン注射と持続注入との比較
鹿住 敏馬場 茂明Mladen VranicGeorge Steiner
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1988 年 31 巻 10 号 p. 787-792

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抄録

高インスリン血症の超低比重リポ蛋白-中性脂肪 (TG) の血中動態に与える影響をインスリン (6U/日) の持続注入法 (osmotic minipumpを使用) と連日注射法とで比較検討した.重篤な低血糖防止のため, 両群に蔗糖を自由に摂取させた. (1) 血清FFAの減少にもかかわらず両群で同程度のTG分泌率の亢進を見た. (2) TG分泌率の亢進にもかかわらず血清TG値は注射群で軽度低下した.しかし, 注入群では増加した. (3) 血糖は蔗糖単独投与群と注入群とは同じであったが, 注射群では半減した.血清IRIの増加は後者で著明であった. (1) は分泌されたTGの脂肪酸の多くは血清FFA以外から由来する,(2) は注射法が血中へのTG分泌より以上に血中からの除去を亢進させる,(3) はTG分泌の亢進は低血糖あるいはそれによって惹起される代謝変化に起因するものではない, ということを示唆する.以上, 高インスリン血症は超低比重リポ蛋白の血中代謝動態を亢進させた.

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