抄録
インスリン受容体蛋白の減少を示すインスリン受容体異常症の2症例, JRM 1およびJA 3の遺伝子DNAおよびmRNAレベルの異常を検索するため, EB virus-transformed lymphecytesを用いてヒトインスリン受容体cDNAでのSouthern analysisおよびNorthern analysisを行った. Kpn I, Pvu II, Rsa IおよびSac Iにて調べた切断断片にはpolymorphisrnが認められたが, Ban I, Ban II, Bgl II, Hind IIIではみられなかった. しかしいずれの症例も対照にない断片は見いだされず, このpolymorphismが本疾患に特有ではないこと, インスリン受容体遺伝子DNAには大きな欠損や挿入のないことが示唆された. Northern analysisにて検出されたmRNAは対照と同様の分子量およびバンドの強度を示し, 大きな異常のないことが示された. 以上の結果よりこれら2症例のインスリン受容体数の低下の原因は, mRNA転写以後のステップにあることが示唆された.