糖尿病
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原発性慢性糸球体腎炎を合併したインスリン非依存性糖尿病者における血清ACE活性
糖尿病性腎症と原発性慢性糸球体腎炎との鑑別
二宮 裕荒川 正昭
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1988 年 31 巻 3 号 p. 247-252

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抄録
原発性慢性糸球体腎炎 (以下腎炎) を合併したインスリン非依存性糖尿病 (NIDDM) 者について, 血清アンジオテンシン変換酵素 (SACE) 活性および腎機能を検討した. 対象は, 肺に異常なく, 喫煙歴のないNIDDM (糖尿病性腎症合併26例, 非合併42例), 腎炎を合併したNIDDM8例, 糖尿病を合併しない腎炎患者 (IgA腎症14例, 膜性腎症6例) および正常45例とした. 腎炎を合併したNIDDMのSACE活性は, 糖尿病性腎症群および正常群と比較して低値であった. 糖尿病性腎症の合併例では, 正常群と比較してSACE活性は高値であった. 腎疾患を合併する各群において, 糸球体濾過値 (GFR) とSACE活性の間には相関が認められなかった. 以上より, 尿蛋白陽性のNIDDMでは, 糖尿病性腎症の合併か腎炎の合併かの鑑別のため, 血清のACE活性値を検討することは有用と考えた.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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