糖尿病
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ストレプトゾトシン糖尿病ラットにおけるEicosanoid産生の亢進
腸間膜灌流実験による研究
藤井 克己
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1989 年 32 巻 4 号 p. 279-284

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抄録

第7週雌Sprangue-Dawleyラットをストレプトゾトシンにより糖尿病を誘発し腸間膜灌流実験を用いてeicosanoid (以下PGと略す) 産生能の変化について検討した. (1) 糖尿病群は, 非糖尿病群に比べ有意に6-kete-prostaglandin F (以下6KFと略す), thromboxane B2 (以下TxB2と略す) の亢進並びに6KF/TxB2比の低下を認めた. (2) 糖尿病群にインスリン治療を行なうと, PG産生が非治療群に比べて有意に低下した. (3) 非糖尿病群ラットの灌流液中に500mg/dlのブドウ糖を添加するとTxB2の有意の増加と6KF/TxB2の有意な低下を認めた. (4) しかし, 糖尿病群ラットの灌流液中にインスリンを添加してもPGの有意な変動は認めなかった.B.腸間膜血管組織の脂肪酸分析の結果, 糖尿病群は非糖尿病群に比べ16: 0, 16: 1, 18: 1n-6の減少ならびに18: 0, 18: 3n-6, 20: 3n-6, 22: 5n-3, 22: 6n-3の増加を認めた.以上, 糖尿病ラットではPG産生能の亢進が認められ, その原因としてインスリン不足, 高血糖の関与が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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