糖尿病
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糖尿病性浮腫性硬化症に関する臨床的・組織学的研究
坂内 千恵子佐藤 栄子川上 康奥田 諭吉多久和 陽松島 照彦川井 紘一山下 亀次郎
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1991 年 34 巻 10 号 p. 895-900

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抄録

浮腫性硬化症は皮膚の硬化性変化を特徴とする稀な結合組織疾患といわれているが, 当科入院インスリン非依存型糖尿病患者63例中7例の項部・上背部に, 指圧痕を残さない浮腫状に盛りあがった皮膚の硬化・硬結を認めた.男性2例・女性5例, 平均年齢52歳, 3年から20年の糖尿病歴, コントロール不良・肥満・網膜症・蛋白尿・神経障害・心血管障害を半数以上に, 免疫グロブリン高値を2例に認めた.3症例の皮膚生検で浮腫性硬化症に特徴的な所見, すなわち真皮の著明な肥厚・コラーゲン線維増生・膨化・走行の乱れ・皮下脂肪組織への浸潤, 酸性ムコ多糖の沈着を証明し, 糖尿病性浮腫性硬化症と診断した.本症は糖尿病患者では稀な病変でなく, 診察に際し項部・背部の皮膚変化に注意を払うこと, また本症を認めたら糖尿病性合併症を伴う頻度が高いので, その検索を速やかに行うとともに, 免疫グロブリン系の検討を行うことが重要と考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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