糖尿病
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ストレプトゾトシン糖尿病ラットにおける腎障害の進展防止に関する研究
インスリンとヘパリンの効果
最上 康生
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1991 年 34 巻 2 号 p. 105-111

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抄録

ストレプトゾトシン糖尿病ラット (STZラット) の腎障害の進展をインスリンあるいはヘパリンが防止するか否かを明らかにする目的で, STZラット作製後, 直ちにインスリン (インスリン群) あるいはヘパリン (ヘパリン群) を連日, 8週間投与し, 尿アルブミン排泄率 (UAE) と8週後の腎糸球体基底膜 (GBM) 外透明層のanionic sites (AS) の数を測定した.UAEは, STZラットで経時的に上昇したがインスリン群では高血糖が制御されたと同時に, その上昇は抑制 (p<0.01) された.ヘパリン群では高血糖が持続したが, インスリン群と同様にUAEの上昇が抑制された.GBMのASの数はSTZラットでは著明に減少したが, インスリン群ではその減少が抑制 (P<0.01) された.ヘパリン群もインスリン群と同程度にASの数の減少が抑制された.
以上より, ヘパリンはインスリンと同様にSTZラット腎障害進展防止効果があると思われた.その作用機序は互いに異なる面が多いと思われる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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