1993 年 36 巻 6 号 p. 461-468
糖尿病教育における, 患者のコンプライアンスに対する心理特性の影響を知ることを目的として以ドの研究を行った. 患者の欲求不満状態に対する行動的心理特性は, PFスタディで検討し, 患者コンプライアンスの指標として, 患者教育初期効果 (知識修得度, 食事治療修得度, 学習態度) を用いた. 対象は, 糖尿病教育コースを履修した患者51名である. 糖尿病教育到達度の高い患者は欲求不満状態に対処する態度として, 1) 問題を自分の責任としてとらえ, 自己反省心が高い, 2) 生じた問題は, 不可避のものであり, 受容し, ルールに従って解決しようとする, 3) 自他に対する許容性があり, 社会的, 精神的成熟度の高いこと, などが判明した. 一方, 問題の原因を他者に求め, 他者に依存して解決しようとする方向, 並びに他者からの言語的介入に対して攻撃的に反応する特性を持つ患者は教育到達度が低く, この特性は教育内容修得に対し阻害的に働くことが証明された.