糖尿病
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C型慢性肝炎のインターフェロン療法後に発症したIDDMの1症例
岡田 和将菊岡 弘芳粉川 美香五百崎 美帆子竹内 けい子岡村 哲明中尾 大成細 隆信近藤 溪
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1995 年 38 巻 8 号 p. 625-630

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抄録
組織学的に軽度の肝硬変像を混じるC型慢性活動性肝炎にたいするインターフェロン-α の投与開始5カ月後, IDDMを発症した症例を経験したので報告する.症例は糖尿病の家族歴のない51歳男性.1992年8月にC型慢性活動性肝炎と診断し, 翌年4月からインターフェロン投与が開始され同年9月2日頃から突然, 糖尿病臨床症状および高血糖が出現しグルカゴン負荷試験および尿中CPR測定により内因性インスリン分泌の極度の低下が認められIDDMと診断した.IDDM発症後1年以上経過した現在も多量のインスリンを要し血糖は不安定な状態でコントロールが困難である.本例のIDDMはインターフェロン-α によって発症したと考えられ, 肝硬変像を有したC型慢性活動性肝炎という基礎疾患においてインターフェロンが膵β 細胞にて主要組織適合抗原の発現を増強し, 自己免疫性機序を誘発した可能性が考えられた.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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