糖尿病
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Disopyramideにより重篤な低血糖発作を起こした1症例
川角 正彦東島 利夫望月 健太郎有坂 知之広瀬 俊一
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キーワード: 低血糖発作
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1995 年 38 巻 8 号 p. 631-636

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抄録
症例は85歳男性.心不全, 肺炎で入院し心不全に対してdigoxin, furosemideが投与され, 頻発する心室性期外収縮, 心房細動に対してdisopyramide (DPM) 300mg/day分3ならびにmexiletineが投与開始された.また肺炎に対する抗生物質も同時に投与されていた.その後, 第12病日から, 著しい低血糖による意識消失発作が出現した.しかしDPMを中止し経過観察したところ低血糖発作は消失した.低血糖発作の分類ではfasting hypoglycemiaであった.低血糖発作時にinsulinの過剰分泌は認められずeuglycemic clampでは末梢糖利用の亢進を認めなかった.glucagon試験での血糖上昇は認めたが, その反応は鈍く, insulin分泌の欠如もみられた.以上より, 本症例はDPMにより引き起こされた低血糖発作であり, その機序としてglycogen storageの低下が関与していることが推察された.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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