糖尿病
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多発性膵嚢胞を呈し糖尿病を合併したvon Hippel-Lindau病の一同胞例
小池 伸彦永井 幸広谷口 雅行中村 三郎池田 孝之小林 健一
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1998 年 41 巻 7 号 p. 519-525

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抄録

症例1は36歳男性. 既往歴で23歳に膵嚢胞切除手術, 33歳に小脳血管芽腫の切除手術がある. 体重減少, 全身倦怠感を訴え当科を受診した. 空腹時血糖197mg/dl, HbA1c 10.5%とコントロール不良の糖尿病であり, 入院にて治療を行った. 症例2は42歳女性 (症例1の姉). 27歳で糖尿病の診断を受け, 32歳よりインスリンによる治療を開始し, HbA1c 6%前後のコントロールを維持している. CT上膵臓は2症例とも1~2cm大の嚢胞の集籏があり膵実質の減少を来していた. 画像検査, 家族歴より多発性膵嚢胞を呈し糖尿病を合併したvon Hippel-Lindau病の同胞例と診断した. 2症例ともインスリン分泌能の低下, 膵酵素基礎値の低下を認めた. 同疾患は多発性膵嚢胞を合併することは多いが, さらに糖尿病を併発した報告は少ない. しかし, なかには多発性膵嚢胞により膵内分泌機能の低下を来し, 糖尿病に至る症例があることが示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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