1998 年 41 巻 7 号 p. 527-530
症例は, 70歳女性で1989年糖尿病と診断をうけ, 食事療法と経口血糖降下剤療法開始した. 1996年2月HbA1c 10.7%と血糖コントロール不良のため入院し, 食事療法を行いglibenclamide 2.5mg/日を内服したが, 血糖コントロールは改善せず, voglibose 0.6mg/日の内服を追加した. 3日間両剤を併用したが, 消化器症状のためvoglibose中止した. そして5日目の朝食前血糖値59mg/dlと低いためこの日からglibenclamideの内服も中止したが, 昼食前血糖値52mg/dl, かっ血清IRI 16.5μU/ml, 血清CPR 5.5ng/mlと低血糖にもかかわらず血清IRI, CPRはやや高値を示した. インスリノーマの所見は認めなかった. 本例はglibenclamide内服中にvogliboseの併用をきっかけに低血糖をきたし, 遷延性低血糖の発生にvoglibose併用が関与している可能性が推測された.