糖尿病
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起立性低血圧を呈する糖尿病患者の臨床像
性差, 危険因子と予後について
佐々木 秀行山本 尚哉岡本 訓久小河 健一山崎 浩貴志 豊中 啓吾三家 登喜夫南條 輝志男
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1999 年 42 巻 11 号 p. 917-925

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抄録

糖尿病患者 (600例; 男性340, 女性260, 年齢20~65歳) につき, 起立性低血圧 (OH: 臥位から立位へ体位変換による収縮期血圧が30mmHg以上下降, または20~29mmHg下降し立位の収縮期血圧が80mmHg未満に低下) を有する患者の臨床的特徴を調べた.OHは600例中109例 (18.2%) にみられ, 約半数は無自覚であった. OHは罹病期間が長く, 進行した細小血管症を有し, BMIの低い例に多く, 血圧上昇も危険因子であった.OHには性差がみられ, 50歳以上では男性で有意に高率であった.平均観察期間5.1年の追跡調査の結果, OH合併群 (63例) の死亡数 (死亡率) は8例 (29.2/1,000人・年) で, 非合併群 (257例) の6例 (4.4/1,000人・年) より有意 (p<0.01) に高頻度であり, さらに, 進行した網膜症, 腎症をもつOH非合併群 (52例) の死亡数 (死亡率) 1例 (4.0/1,000人・年) と比較しても有意 (p<0.05) に高頻度であった. 死亡例のうち, 突然死の割合はOH合併群では4/8 (50%), 非合併群で1/6 (17%) であった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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