2000 年 43 巻 2 号 p. 115-121
糖尿病性自律神経障害を診断するために, 圧受容体, 延髄, 交感神経・副交感神経反射弓のバランスを検討する評価系であるバルサルバ負荷 (VM) を行い検討した. VMはフィナプレス (Finapres ®) を用いて血圧, 脈拍変動を連続観察し副交感神経, 交感神経両者の介在するVM第4相の圧受容体反射を検討した. 指標は1. 頻脈潜時 (TL), 2. 徐脈潜時 (BL), 3. 負荷前値血圧復帰潜時 (BpL), 4, 血圧頂点潜時 (OvL) を用いた. 糖尿病群でBLが健常群に比べて有意に遅延しており副交感神経障害指標として有用である. 自律神経障害を定性的に評価するためには第4相のovershootの欠如 (144例中44例) があげられる. また, 糖尿病群でovershootがない群では出現群に比べてTLの優位な遅延があり交感神経障害指標として有用であると思われた.