日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: Y-1
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優秀研究発表賞応募演題
ユビキチン・プロテアソームシステムで分解されるメチル水銀毒性増強蛋白質の検索
*荻原 庸介黄 基旭永沼 章
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抄録
【目的】我々は、メチル水銀毒性に対する防御機構として、細胞内の蛋白質分解システムの一つであるユビキチン・プロテアソームシステムが重要な役割を担っていることを見出し、さらに、本システムによって分解される蛋白質の中にメチル水銀毒性を増強させる蛋白質が存在し、その蛋白質の細胞内レベルがメチル水銀毒性の発現程度を規定している可能性を示唆してきた。そこで、このメチル水銀毒性増強蛋白質を同定するために、欠損することにより酵母にメチル水銀耐性を与える遺伝子を酵母遺伝子欠損株ライブラリーを用いて検索した。【結果および考察】酵母は約6000の遺伝子を有するが、そのうち欠損可能な約5000種の遺伝子について検索したところ、約60種の遺伝子をそれぞれ欠損した酵母がメチル水銀に対して耐性を示した。これらの遺伝子がコードする蛋白質の中でユビキチンと結合することが報告されているのはNcr1、Hom2、Hom3、Whi2、Ste20およびVid28の6種であった。そこで、これらの蛋白質をそれぞれ高発現する酵母を作製してメチル水銀に対する感受性を検討したところ、Hom3またはWhi2を高発現させた酵母が対照酵母に比べて高感受性を示した。また、両蛋白質が酵母内でユビキチン化されることも確認された。以上のことからHom3およびWhi2共にメチル水銀毒性増強蛋白質であり、両蛋白質の細胞内レベルはユビキチン・プロテアソームシステムによって調節されていると考えられる。現在、両蛋白質のユビキチン化の促進がメチル水銀毒性の発現に及ぼす影響を検討している。
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© 2005 日本毒性学会
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