日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-20
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一般演題(ポスター)
薬物が心血管系に及ぼす影響を評価する上でのミニブタの有用性
*秦 己貴子伊藤 美佐江田保 充康浅沼 健太郎堤 秀樹片桐 公一川原田 伸也桑原 正貴局 博一木村 和哉
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抄録
【目的】近年、薬物を開発する上で心血管系に対する安全性薬理学的評価が必要とされている。ミニブタの心血管系は機能的・解剖学的にヒトに類似していることから、実験動物としての有用性が高まっている。そこで、本研究ではミニブタを用いてd,l-sotalol及びquinidineの詳細な心血管系パラメータ(PR、QRS、QT間隔、QTc、心拍数及び血圧)に及ぼす影響を明らかにすることにより、ミニブタの薬物に対する心血管系評価モデルとしての有用性を検討した。【方法】あらかじめテレメトリー送信器を埋め込んだミニブタ(雄、各群4例)を使用し、無麻酔・無拘束下でテレメトリーシステム(OpenART&HEM)を用いて心電図及び血圧の記録と解析を行った。本研究における最適なQT補正式を求めるために1日あたり24点のQT及びRR間隔を解析し、4種類の補正式(Bazett、Fridericia、Van de Water、Matsunaga)のQT補正能について検討した。d,l-sotalol(10、30、100 mg/kg、p.o.)及びquinidine 5 mg/kg(i.v.)は約10時に投与した。【成績及び総括】QT補正能の検討では、4種類の補正式の中でBazett及びFridericiaの補正式が良好であり、QT延長の評価には両補正式を使用した。d,l-sotalolでは、明らかな心拍数の低下及びQT間隔の延長が認められた。しかしながら、QTcに延長は認められず、QT間隔の延長は心拍数低下による影響を反映しているものと考えられた。一方、quinidineではQT、QRS間隔及びQTcの延長が認められた。以上のように、ミニブタは薬物の有する特性の差異を心血管系反応の違いとして明らかにできることから、薬物の心血管系に対する安全性薬理学的評価に有用であると考えられた。
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© 2005 日本毒性学会
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