日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-61
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一般演題(ポスター)
ラット肝組織の保存条件についての検討1 ∼RNAlater組織保存法についての検討∼
*宮崎 登志子笠原 利彦小野 敦宮城島 利一漆谷 徹郎長尾 拓
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抄録
【緒言】トキシコゲノミクスプロジェクトは国立医薬品食品衛生研究所と製薬企業17社による共同研究であり,遺伝子発現データを用いた安全性予測システムの開発を目標としている.遺伝子発現実験において,RNAの品質はデータの精度に影響を与えることから,RNAサンプルの保存条件は重要である.最近,アンビオン社から,RNA安定化試薬(RNAlater reagent,以下RNAlater)が発売され,多くの研究室で使用されるようになった.本研究ではRNAlaterを使用した保存法と従来の保存法(組織を凍結後,冷凍庫あるいは液体窒素で保存)を比較し,組織保存法の違いがRNAの品質に及ぼす影響について検討した.【方法】1匹のラットの肝臓から得た約20mgの組織片をRNAlater,液体窒素,-80℃あるいは-20℃で保存した.なお,RNAlaterについては組織片をRNAlaterの入ったチューブに入れ4℃で1晩保存した後,3つの方法(-80℃,-20℃,RNAlaterを除去した後に-80℃)で保存した.各条件で7日,1,3,6および12ヶ月保存した後,RNAをRNeasy mini columnで抽出し,吸光度測定後,電気泳動およびβ-actinのreal-time PCRでRNAの品質の比較を行った.【結果および考察】RNAlaterを用いた保存法は,他の方法と比較してRNAを最も安定して保存することができた.また,β-actinのreal-time PCRにより,RNAの電気泳動における28S/18Sのパターン比較では検出できないRNA量の差を検出することができた.以上の結果から,RNAlaterを用いた保存法は,液体窒素や超低温冷凍庫を使わずにRNAを安定化したまま組織を保存することができ,遺伝子発現実験に有用であると考えられた.
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© 2005 日本毒性学会
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