日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-88
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一般演題(ポスター)
サル微細運動機能に及ぼす薬物効果の観察
*藤原 淳若狭 芳男飯野 雅彦大塚 貴弘星野 満
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抄録
サルの行動におよぼす薬物の影響をより詳細に観察するため,薬物投与下で摂餌行動における指先の微細運動機能を観察した。また,同時に粗大運動機能および数種反射機能の項目を含む一般状態観察ならびに自発運動量測定を行った。
[方法]3頭のアカゲザルに0.5%CMCまたはジアゼパムを単回胃内投与した。投与後1時間に飼料を特殊給餌器に入れて与え,飼料を取り終えるまでの時間 (摂餌時間) を測定した。特殊給餌器は金網製の箱型であり,サルが金網を通して左右上肢の指先で餌ペレットを底部から上部に運び上げ,開口部から取り出すことが可能な構造とした。また,一般状態観察では,ケージ内の状態 (姿勢,外観,排泄物等),観察者への反応性 (攻撃行動,怯え表情),粗大運動 (動作緩慢,運動失調) などのほか,モンキーチェアーに保定し,各種反射反応,瞳孔径,筋緊張等を投与後1,2,4および6時間に観察した。さらに,赤外線センサーによる自発運動量測定を投与後24時間まで連続的に実施した。
[結果]0.5%CMC投与時と比較して,ジアゼパム1 mg/kgでは全ての項目について著明な変化はみられなかった。4 mg/kgでは,3頭中1頭でケージ内の状態,観察者への反応,粗大運動ならびに自発運動量の各項目で,また,他の2頭では粗大運動のみにおいてそれぞれ軽度ないし中等度の中枢抑制性の変化がとらえられた。モンキーチェアー保定による観察では全ての動物において変化はみられなかった。これに対し,投与直前の2日間と比較した摂餌時間の割合を0.5%CMCと比べると,4 mg/kg では1.3倍,1.5倍および2倍と全頭で延長しており,微細運動機能の障害が認められた。
[考察]演者らの考案した特殊給餌器により,サルにおいて,摂餌行動における指先の微細運動機能におよぼすジアゼパムの影響をとらえられることが明らかとなった。
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© 2005 日本毒性学会
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