日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-6
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一般演題(口頭)
Indole-3-carbinolによる雌ラット肝臓および子宮中のcytochrome P450酵素の発現パターンについて
*吉田 緑中江 大前川 昭彦
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抄録
ブロッコリー等に含まれるIndole-3-carbinol (I3C)はエストロゲン様作用を示さないもののラットの子宮癌を促進し、その機序としてI3Cが肝臓中のCYP1A1, 1A2, 1B1誘導を介してエストロゲン代謝を変調させた結果、17β-estradiol (E2)より強い発がん作用を示す4-hydroxyestadiol (4HE)を増加させる可能性を昨年の本学術年会で報告した。一方、cytochrome P450酵素はホルモン依存性臓器にも存在し、局所のエストロゲン代謝変調がこれらの臓器の発がんへ直接関与する可能性も指摘されている。今回我々はI3C投与がラット子宮にcytochrome P450酵素を誘導する可能性を検索し、肝臓の結果と比較した。2ヶ月齢の雌Donryuラットの卵巣を摘出後、I3Cを500および2000ppm群の濃度で2週間混餌投与し、子宮および肝臓中のCYP1A1、1A2、1B1、3A1および3A2酵素のmRNAあるいは免疫組織化学染色による蛋白の発現を検索した。その結果、I3C投与により肝臓中の1A1、1A2、1B1は誘導されたが、3A1及び3A2の発現は対照群と同様であった。子宮では対照群を含め1B1が強く発現していたが、1A1以外はI3C群と対照群で同様であった。I3C投与により1A1mRNAが増加したものの免疫組織学的な発現は明らかでなかった。肝臓中のestradiol 2-および4-hydroxylase活性ともにI3C投与群で増加した。以上の結果より、I3C投与により子宮のcytochromeP450酵素誘導が1A1を除き認められなかったことから、I3Cによるラット子宮癌促進には肝臓中のエストロゲン代謝変調の影響が大きく、子宮局所における代謝変調の関与は少ない可能性が高いと推察された。
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© 2005 日本毒性学会
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