日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-41
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一般演題(口頭)
gpt delta L1細胞を用いたmitomycin Cにより誘発される遺伝子突然変異および小核の検出
*竹入 章三島 雅之田中 健司原田 麻子新倉 博文増村 健一能美 健彦
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抄録
gpt deltaマウスは、λEG10ベクターを組込まれたトランスジェニックマウスであり、変異原物質によりin vivoで誘発される突然変異を検出可能である。この試験系では6-thioguanine (6-TG) selectionにより点突然変異をSpi- selectionにより欠失変異をそれぞれ検出することができる。我々は、このマウス由来の肺線維芽細胞をSV40 T抗原を用いて不死化させ、gpt delta L1細胞を樹立した。gpt delta L1細胞の変異原物質に対する反応性を検討する目的で、mitomycin C (MMC)による遺伝子突然変異および小核の誘発頻度を調べ、さらに、誘発された突然変異の解析を行った。gpt delta L1細胞を0.025から0.1 μg/mLのMMCで24時間処置し、6日間培養した後に細胞を回収した。この細胞よりDNAを抽出し、6-TG selectionおよびSpi- selectionにより突然変異頻度を測定した。さらに、得られた変異体の塩基配列を調べ、MMCによって誘発された突然変異の特徴を解析した。同様にMMCで24時間処置した細胞を、培養プレート上で固定しacridine orangeで染色し、倒立型蛍光顕微鏡を用いて小核を観察した。その結果、MMC処置により遺伝子突然変異頻度、小核誘発頻度ともに増加が認められた。誘発された変異は主にG:C塩基対での塩基置換、5'-GG-3'配列でのタンデム塩基置換、8kbpまでの欠失変異であった。gpt delta L1細胞はMMCで誘発される突然変異および小核を検出可能であり、さらに誘発された突然変異の塩基レベルでの解析が可能であった。従って、この細胞は変異原物質により誘発される塩基レベルから染色体レベルまでの変化を幅広く検出可能な系であり、変異誘発機序検討および遺伝毒性スクリーニングに応用可能であることが示唆された。
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© 2005 日本毒性学会
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