日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-52
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一般演題(口頭)
紫外線吸収剤2-(3,5-di-tert-butyl-2-hydroxyphenyl)-5-chlorobenzotriazoleのラットにおける発生毒性
*江馬 眞福西 克弘松本 真理子広瀬 明彦鎌田 栄一
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抄録
2-(3,5-Di-tert-butyl-2-hydroxyphenyl)-5-chlorobenzotriazole (CAS No. 3864-99-1: DBHCB) はポリオレフェン、塩化ポリビニル、ポリカーボネート、ポリウレタン、パイレックスガラスや種々のペンキ等に紫外線吸収剤として使われている。紫外線吸収剤は食品の品質保持のために食品包装用器材に添加されている。今回は、紫外線吸収剤のDBHCBの発生毒性をCrj:CD(SD)IGSラットを用いて検討した。ラットの妊娠5-19日(精子発見日=妊娠0日)に0, 62.5, 250または1000 mg/kgのDBHCBを5%アラビアゴム水溶液に懸濁して強制経口投与し、妊娠20日に妊娠ラットを剖検し、胎児を検査した。妊娠ラットの死亡は観察されなかった。妊娠ラットの一般症状、体重増加、摂餌量、剖検所見、卵巣及び子宮重量にDBHCB投与の影響はみられなかった。黄体数、着床数、生存胎児数、吸収胚及び死亡胎児数、着床前及び着床後胚死亡率、胎児生存率、胎児体重、生存胎児の性比にDBHCB投与の影響は認められなかった。胎児の外表、骨格及び内部器官の検査の結果、奇形を有する胎児の発現頻度にDBHCB投与による影響は認められなかった。これらの結果から、DBHCBはラットに対して発生毒性を示さず、妊娠ラット及び胎児に対するDBHCBの無毒性量は1000 mg/kgと考えられた。
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© 2005 日本毒性学会
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