日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-53
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一般演題(口頭)
DMNおよびMMSの子宮内暴露によるマウス胎仔肝臓および雌雄胎仔生殖隆起細胞におけるDNA損傷
*筑波 千晶松原 和衛高橋 寿太郎佐藤 至津田 修治
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抄録
【目的】妊娠個体が化学物質に暴露された際、胎仔の体細胞のみにDNA損傷が起これば子供に影響は出ても孫以降は安全であり生殖細胞のみにDNA損傷が起これば子供は安全であっても孫以降に影響が起こる可能性が考えられ、体細胞と生殖細胞がともに損傷を受ければ子供にも孫以降にも影響が出る可能性が考えられる。しかし、胎仔の体細胞と生殖系の細胞の間でDNA損傷物質により受ける損傷の程度に違いがあるのかどうかについて確かめられていない。そこで本実験では、雌雄胎仔の生殖隆起および代表的な代謝の場である肝臓の細胞が受けるDNA損傷の程度に違いがあるかどうか調べることを目的とした。【方法】妊娠12.5日目のICRマウスにジメチルニトロソアミン(DMN:CYP450の代謝を受けてDNA損傷を引き起こす:80mg/kg)およびメチルメタンスルホン酸(MMS:CYP450の代謝を受けずに直接DNA損傷を引き起こす:10mg/kg)を腹腔内投与し、投与6時間後に子宮から胎仔を取り出して肝臓および生殖隆起を採取し、DNA損傷の程度について単細胞ゲルアルカリ性電気泳動法(コメット法)を用いて調べた。対照として、妊娠12.5日目の無処置のマウスから摘出した胎仔肝臓および生殖隆起を用いた。【結果】MMSを投与したものでは胎仔肝臓および雌雄胎仔生殖隆起のいずれにおいても対照群と比べ有意にDNA損傷が増加した。また、DMNを投与したものでは、胎仔肝臓および雌雄胎仔生殖隆起いずれにおいても対照群と比べDNA損傷は増加しなかった。【結論】胎仔においてDMNは代謝活性化されにくいことが示唆された。また、MMSは胎仔に直接的なDNA損傷を引き起こすが、この損傷の程度は胎仔の肝臓と雌雄生殖隆起細胞の間では差が認められなかった。
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© 2005 日本毒性学会
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