日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-51
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一般演題(口頭)
医療用具の安全性評価における金属製品の感作性試験
*金澤 由基子佐藤 秀隆松岡 千明小島 幸一
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抄録
【目的】金属製医療用具の安全性評価のために行われる感作性試験では、「医療機器審査No.36」に従い、金属イオンを用いるMaximization testを実施することが推奨されている。しかし、金属製品の感作性には、溶出率が大きく影響する。また、臨床において多数報告がなされている金属イオンアレルギーは、動物で再現することが難しい。今回、これらを考慮し、安全性評価に使用できる感作性試験方法を確立したので報告する。【方法】動物は、Hartley系モルモット(雌、7週齢)を使用した。5種(ニッケル、クロム、コバルト、マンガン、タングステン)の金属について、それぞれ1%金属イオンオリブ油液を皮内投与(処置第1日)し、同金属イオン2%液(媒体:30%エタノール)を週3回、2週間、24時間閉塞貼付(処置第1〜3日、処置第8〜10日)した。惹起(処置第22日)では、それぞれの金属イオンを24時間閉塞貼付した。また、代表的金属医療用具であるステントについて、溶出試験で得られた最高溶出濃度の1000倍濃度の5種金属イオン混合液を同様のスケジュールで感作し、同混合液の希釈液およびステント抽出液で惹起した。【結果】マンガンを除く4種金属イオンで感作性が確認された。最高溶出濃度の1000倍濃度の5種金属混合物(原液)とその1/10、1/100希釈液で惹起した場合、原液とその1/10希釈液で明らかな感作性が認められた。ステント抽出液で惹起した場合には、陰性であった。【結論】動物を感作することが難しい金属イオンについて、本感作方法で感作性陽性動物を作製することができた。また、溶出試験結果から求めた最高溶出濃度の1000倍濃度で感作し、惹起濃度を変化させることで、製品から溶出する金属イオンの感作性を評価することが可能となった。本試験方法を用いることで金属製医療用具の感作性評価が確実に行えることが示された。
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© 2005 日本毒性学会
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