日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-57
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一般演題(口頭)
Sulfasalazineの投与期間の違いによるラット精子機能および精巣上体における遺伝子発現への影響
*福島 民雄浜田 悦昌小宮山 政敏森 千里堀井 郁夫
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抄録
[目的] 潰瘍性大腸炎などの治療薬であるSulfasalazine(SASP)は男性不妊を起こすことが知られている。先の研究で,ラットにSASP 600 mg/kgを28日間投与したところ,妊孕性抑制作用の原因の一つと考えられる精子運動性および先体反応の抑制がみられ、さらに、精子成熟への関与が示唆されるCD59,MCPおよびDAF遺伝子発現の抑制が認められた。本研究では,これらの影響を精査するため,ラットにSASP 600 mg/kgを1、7および14日間投与し、より初期の変化について検討を加えた。[方法] 成熟IGS雄ラットにSASP 600 mg/kgを1、7および14日間経口投与した。対照群には溶媒(0.5%メチルセルロース)を投与した。右側精巣上体尾部より精子を採取し,HTM-IVOSを用いた精子運動性検査およびFITC-cocanavaline A lectin染色を用いた先体反応検査に供した。また、左側精巣上体は、液体窒素で凍結後、総RNAを抽出し定量PCR解析に供した。[結果] 精子遊泳速度などの精子運動性の低下が、投与7日目以降から認められた。また、精子先体反応の抑制も投与7日目以降からみられた。これらの精子機能への影響は、投与期間とともに増強した。定量PCR解析では、CD59およびDAF遺伝子発現の低下が、投与1日目認められた。一方、MCPに関しては減少傾向はあるものの有意な低下は認められなかった。[結論] 以上の成績より、SASPの短期間反復投与では精子運動性および先体反応の抑制に先行して、精巣上体におけるCD59およびDAF遺伝子発現の低下が起きることが明らかになった。このCD59およびDAFの発現抑制が、SASPによる妊孕性抑制作用の引き金となる可能性が示唆された。
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© 2005 日本毒性学会
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