日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-074
会議情報
実験動物・モデル動物
ラットにおける泌乳期間中の血液学的パラメータの変動
*浦底 嘉仲He Xi Jun鷹野 正生小川 順子植松 正伸江畑 知憲中島 弘貴宮島 直子鈴木 純木下 雄一小林 淳一清水 郷美池谷 政道
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
[緒言]ヒトでは妊娠、分娩および泌乳期間中に各種の生理学的パラメータが変動することが知られているが、ラットでの報告はごく少ない。我々は第34回本学会でラットの妊娠経過に伴う血液学的パラメータの変動について報告した。今回は泌乳期間中の血液学的パラメータの変動を血液凝固系を中心に検索した。[方法]16~18週齢のCrl:CD(SD)ラットの泌乳1、7、14、および21日にエーテル麻酔下で腹大動脈から採血し、血液学的検査を実施した。さらに、血液凝固関連遺伝子の発現の変化をみるため、泌乳0および14日に肝臓のDNA microarray analysisを実施した。対照動物としては同週齢の非妊娠動物を用いた。[結果]血液学的検査では、妊娠末期にみられた貧血傾向ならびに白血球百分率およびGlucoseの変化は、泌乳期間の経過に伴い回復した。一方、妊娠期間中変動がみられなかったAST、ALTおよびBUNならびに妊娠後期に低値を示したALPが泌乳期間を通じて高値を示した。さらに、妊娠末期に増加したCPKは分娩直後に一時的に低下した後再び増加し、妊娠末期に低下したTPおよびAlbuminは分娩直後に一時的に増加した後再び低下した。血液凝固系パラメータについては、妊娠末期に増加がみられたFibrinogen および血小板は泌乳期間の経過に伴い低下した。また、泌乳1日には妊娠末期と同様PTおよびトロンボテストは短縮傾向を示し、AT-_III_は高値を示したが、その後こうした変化は泌乳期間の経過に伴い回復した。凝固関連遺伝子の発現の変化は血液凝固系パラメータのそれとよく相関していた。[考察]妊娠末期にみられた血液凝固系パラメータの変化は泌乳期間の経過に伴い回復した。一方で、妊娠期間のそれとは異なった変化を示す血液学的パラメータもみられ、これらは泌乳と関連しているもの考えられた。
著者関連情報
© 2008 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top