日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-081
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発がん
Fenofibrateのラット肝腫瘍形成期における部位特異的分子病理学的解析
*西村 次平出羽 康明金 美蘭三枝 由紀恵川合 正臣渋谷 淳三森 国敏
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キーワード: PPARα, 肝臓, 肝発がん
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抄録
【目的】PPARαアゴニストの齧歯類肝発癌機序を明らかにするため、ラット肝二段階発がんモデルを用いて、肝臓の部位特異的解析を実施した。【方法】6 週齢雄性F344 ラットを用い、定法に従い、DEN処置及び2/3部分肝切除を行った。fenofibrate(FF)を0又は 3,000 ppmの濃度で基礎食に混じ、28週間投与を行った。得られた肝臓をレーサ゛ーマイクロタ゛イセクション法にて、前癌病変及び周辺組織を採材、RNA抽出後、Real-time RT-PCRを行い、加えて免疫染色を行った。【結果】肝細胞増殖巣の数、腫瘍の発生頻度/個数は、DEN単独群に比し、DEN+FF群(以下、FF群)で有意に増加し、特にGST-P陰性のものが増加した。部位特異的mRNA発現解析では、FF群のGST-P陰性巣に比し陽性巣でAco及びCyp4a1(脂肪酸酸化)の発現低下、Gpx2及びGsta2(第_II_相薬物代謝酵素)の発現上昇が認められた。またalpha(2)-Macroglobulin (α2-M :GST-P陰性巣のマーカー)の発現が、FF群のGST-P陽性巣に比し、陰性巣で有意に増加した。Plasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)は、FF群のGST-P陽性巣に比し、陰性巣で有意に増加した。免疫染色では、Nrf2の発現がGST-P陽性巣で減少、陰性巣で増加、PAI-1の発現が陰性巣で増加した。【考察】FF誘発前癌病変のうち、GST-P陽性巣はDEN単独のそれと同様にNrf2に制御されている可能性が示唆されたが、GST-P陰性巣では異なる可能性が推察された。また、GST-P陰性巣ではα2-MやPAI-1の発現上昇が認められたことから、GST-P陽性巣とは異なるシグナルが関与する可能性が示唆された。
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© 2008 日本毒性学会
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