日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: S1-4
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毒性オミクス[共催:毒性オミクスフォーラム]
システムバイオロジーによる毒性オミクスへのアプローチ
*北野 宏明
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抄録
進化し最適化への道を歩む複雑系には、幅広い擾乱に対してロバスト性を確保すると同時に想定外の擾乱に対して非常に脆弱になるというロバストネス・トレードオフが存在する。これは生物に普遍的に当てはまる法則ではないかと考えている。これが正しければ、この特徴は、創薬戦略を考える上で、非常に重要なことを意味している。つまり、ターゲットとなる細胞・組織が、ロバストに対応できるタイプの擾乱は、多くの場合、有効性を十分にあげることができず、その擾乱が、ある種の細胞の脆弱性を攻撃してしまった場合に副作用が発生するということである。
薬剤の有効性と副作用の事例研究と細胞内相互作用ネットワークとドラッグターゲットや疾病原因遺伝子の関係の研究から、この仮説が正しいのではないかとかんがえている。 これは、創薬戦略に大きく影響を与える。つまり、創薬ターゲットの選択や複数のターゲットに対する相乗効果を得るアプローチへの展開など大きな発想の転換を迫られる可能性がある。

Kitano, H, A robustness-based approach to systems-oriented drug design, Nature Reviews Drug Discovery 6 , 202-210 (March 2007)

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© 2008 日本毒性学会
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