抄録
る。ゴマ油成分Sesamolはゴマ種子を焙煎する過程でゴマリグナンのSesamolinから変換されて生成し,ラジカル消去作用や抗酸化作
用を有することが知られているが,詳細は明らかになっていないことが多い。本研究ではSesamolの免疫機能における作用を明らかに
するため,強力な免疫賦活作用を持つLipopolysaccharide(LPS)を用いて,マクロファージにおけるLPSの炎症性サイトカイン遊離
や酸化ストレス関連因子の発現誘導に対する影響を検討した。【方法】細胞はマウス腹水由来マクロファージ細胞(RAW264.7)を用い
た。NO産生についてはLPS(1μg/mL)処理1時間前にSesamo(l 10-1000μM)を添加し,Griess法にて評価した。IL-1β,TNF-α,
iNOS,COX-2およびheme oxygenase-1(HO-1)mRNA変動は,SesamolおよびLPS処理後8時間の細胞を回収しreal time RT-PCR
により評価した。尚,タンパク発現量はウェスタンブロット法により検討した。【結果・考察】LPSによるNO産生量はSesamol濃度依
存的に抑制された。本条件下でSesamolによる細胞毒性はほとんど認められなかった。LPSによるIL-1β,TNF-α,iNOS mRNA発
現レベルの上昇はSesamolにより抑制された。同様にタンパクレベルでも確認された。以上より,Sesamolはマクロファージ活性化を
阻害し,炎症抑制作用につながる可能性が示唆された。一方,SesamolによるHO-1誘導作用は認められなかったが,LPSによるHO-1
誘導を抑える傾向がみられた。現在,HO-1の転写因子であるNrf2への作用について検討中である。