日本トキシコロジー学会学術年会
第37回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: PD-1
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PD In vitro トキシコロジー試験法の行政的な受け入れ
新しい感作性および局所刺激性(皮膚・眼)試験法のOECDテストガイドライン
*小島 肇
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抄録
EUでは,化粧品指令7次改正および既存化学物質の安全性再評価:REACH(登録,評価,認可,制限)の規制により,動物実験代替法(以下, 代替法と記す)の確立が急がれている。現在,欧州代替法検証センター(ECVAM)が中心となって種々の代替法について精力的にバリデーショ ン研究および第三者評価を実施している。これらの方法の中で,局所刺激性および感作性試験における2010年1月現在でのOECDテストガ イドラインへの承認および日米欧における検討状況をまとめた。
皮膚刺激性については,培養表皮構築モデル(EPISKIN,EpiDerm,SkinEthics)を用いたin vitro皮膚刺激性試験がEUにて認証されてい るものの,OECDテストガイドラインとしてはまだ承認されていない。日本で販売されている培養表皮構築モデルの中で,LabCyte EPIMODEL( J-TEC)については,日本代替法検証センター(JaCVAM)においてバリデーション研究が実施され,OECDによる第三者評価が実 施されている。
眼刺激性試験については,牛摘出角膜試験および鶏摘出眼球試験がOECDテストガイドラインとして,2009年に承認された。しかし,これ らの試験法は腐食性や強い眼刺激性を評価する方法であり,REACHはともかく,化粧品の安全性評価には利用できない。弱い刺激性も評価 できるというCytosensor testが2009年に欧州にて承認されたが,さらにECVAMにおいて3次元培養角膜モデルを用いたバリデーション研 究が計画されている。弱い眼刺激性を評価するための試験法として,米国では牛摘出角膜試験が,日本では細胞毒性試験の評価が進行中である。 感作性試験については,2002年にOECDテストガイドラインとして局所リンパ節試験(LLNA)が認証された。この改定版として,動物数を 削減したreduced LLNA,放射線同位元素を用いないLLNA:DAおよびLLNA:BrdU-ELISAの検討がOECDにて進んでいる。一方,ペプチ ド結合試験,培養細胞を用いた試験法に関するバリデーション研究をJaCVAMとECVAMがまもなく開始する。
以上のように,これらの分野は代替法の検討・公的な承認がもっとも進んでいる。ただし,化学物質の安全性確保が第一優先とされ,偽陰 性物質を極力少なくするため, それぞれの試験法はtiered testing strategy の一部として位置付けられている場合が多いと考えている。
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© 2010 日本毒性学会
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