日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: O-47
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毒性関連遺伝子、 酸化ストレス、発がん
Orphenadrine (ORPH) のラット肝発がんプロモーション作用に関する研究
*盛田 怜子林 仁美谷合 枝里子八舟 宏典赤根 弘敏白木 彩子石井 雄二鈴木 和彦渋谷 淳三森 国敏
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抄録
【背景および目的】肝臓における代謝過程でCYP2Bを誘導する化学物質の中には、CYP2B誘導による活性酸素種 (ROS) 産生とそれに伴う酸化的ストレスに起因するラット肝発がんプロモーション作用を持つものがある。本研究では、CYP2B誘導剤であるORPHのラットにおける肝発がんプロモーション作用について検討した。【方法】ラット肝2段階発がんモデルを用い、6週齢の雄性F344ラットにイニシエーターとしてdiethylnitrosamine (200mg/kg) を単回腹腔内投与し、2週間後からプロモーターとしてORPH (1500ppm, 750ppm) の混餌投与を行った。混餌投与開始から1週間後に2/3部分肝切除を施し、実験開始から8週間後に剖検した。肝臓を採材し、病理組織学的、免疫組織化学的および分子病理学的検索を行った。【結果】ORPH投与群で体重増加抑制が認められ、相対肝重量の有意な増加が認められた。また、肝細胞の肥大と空胞変性、変異肝細胞巣が濃度依存的に認められた。肝前がん病変のマーカーであるglutathione S-transferase placental form (GST-P) の陽性細胞巣は個数、面積ともにORPH投与群で有意に増加し、Cyp2b1/2のmRNA発現、酸化的ストレスの指標であるthiobarbituric acid-reactive substance (TBARS) およびマイクロソームにおけるROS産生がORPH投与により有意に増加した。また、DNA損傷の指標となる8-hydroxydeoxyguanosine (8-OHdG) もORPH1500ppm投与群において有意に増加した。【考察】ORPHがラット肝発がんプロモーション作用を有することが明らかとなり、その機序にはCYP2B誘導によるROS産生とそれに伴う酸化的ストレスが関与していることが示唆された。
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© 2012 日本毒性学会
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