日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-116
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パラオキシ安息香酸ブチルのラットを用いた90日間反復投与毒性試験
*土井 悠子萩原 昭裕勝呂 繭子今井 則夫玉野 静光髙橋 祐次菅野 純
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抄録

【目的】パラオキシ安息香酸ブチルは広い範囲の微生物に対して抗菌作用があり、保存料(食品添加物)として使用されている。他のパラオキシ安息香酸エステル類と組み合わせて使用され、食品への使用量は制限されている。今回、パラオキシ安息香酸ブチルの安全性評価の一環としてラットにおける90日間反復投与毒性試験を実施した。【方法】雌雄各群10匹の6週齢F344系ラットに、パラオキシ安息香酸ブチルを0、0.3、0.8および2.5%の濃度で飼料中に混じて90日間、自由に摂取させた。投与期間中、毎日一般状態を観察し、週1回体重、摂餌量および摂水量を測定した。投与最終週に眼科学的検査および尿検査を行い、投与期間終了後、腹部大動脈より採血し、血液学的検査および血液生化学的検査を行った。また、放血致死させた後に剖検を行い、採取した主要器官の重量を測定するとともに、全身諸器官の病理組織学的検査を実施した。【結果】投与期間中に死亡動物はなく、一般状態、眼科学的検査、尿検査、血液学的検査及び肉眼的病理学検査においてはパラオキシ安息香酸ブチルの投与に起因すると考えられる毒性変化は認められなかった。体重の有意な低値が雌雄の2.5%及び0.8%群で認められた。血液生化学的検査では、アルカリホスファターゼ(ALP)およびγ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP)の有意な高値が雌の2.5%あるいは0.8%群で認められた。器官重量では肝臓において雄の2.5%群及び雌の2.5%群及び0.8%群で有意な高値が認められた。病理組織学的検査では、胃の境界縁及び前胃の扁平上皮過形成が雌雄の2.5%群で、前胃の扁平上皮過形成が雌雄の0.8%群でそれぞれ認められた。【結論】以上の結果より、本試験条件下における無毒性量(NOAEL)は、雌雄ともに0.3%群(雄では179 mg/kg/day、雌では215 mg/kg/day)と判断した。
 (厚生労働省食品・添加物等試験検査費による)

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